黒鉛とは

黒鉛とは?What is the graphite?

工業製品の名脇役「黒鉛(グラファイト)」

黒鉛の画像

「黒鉛」は鉛(Pb)ではありません。

ニックネームのようなものです。正式名は石墨(GRAPHITE)と言います。
ダイヤモンド・墨・石炭・カーボンブラック等と同様、炭素(C)の仲間です。ダイヤモンドと兄弟でも、結晶構造の違いにより性質も形状も異なっています。

「黒鉛」は潤滑性、導電性、耐熱性、耐酸耐アルカリ性に優れておりこれを4大特性と呼びます。日本黒鉛はこれらの特性を100%発揮できるように仕上げていく事が可能です。

潤滑性、導電性、耐熱性、耐酸耐アルカリ性の4大特性

潤滑の特性で利用される用途には鉛筆の芯、新幹線のパンタグラフ、自動車のブレーキパッドなどがあります。またアルミホイルやエンジンのクランクシャフト も「黒鉛」がなければ製造できません。
導電の特性を利用したものには各種電池/コンデンサ/キャパシタに粉末・塗料・塗工品など様々な形で使用されています。また、導電性ペーストとして各種印刷回路など様々なデバイスへご使用されております。

その他、黒鉛の使用用途としては色々ありますが、あまり目に止まる箇所には使用されていません。“縁の下の力持ち”としてあらゆる産業の基礎になる分野として活躍しております。
黒鉛製品の一貫生産メーカーは世界にも類を見ません。産業が高度化していくほど必要とされる材料「黒鉛」。この「黒鉛」を使った炭素製品を世界の産業が待っているのです。

黒鉛の分類Classification of graphite

  • 黒鉛
    • 天然黒鉛
      • 鱗片状黒鉛
      • 塊状黒鉛(鱗状黒鉛)
      • 土状黒鉛
    • 人造黒鉛

天然黒鉛

  • ・鱗片状黒鉛(主な産地/中国・ブラジル・ウクライナ)

    鱗片状黒鉛は最も代表的な天然黒鉛です。
    鱗片状黒鉛は主に鉱山での露天掘りにて採掘されており、鱗状の外観を 特徴としております。
    主な産出国としては中国、ブラジル、ウクライナ等です。
    結晶性は完全に近い結晶を示し、異方性が著しいのが特徴です。

  • ・塊状黒鉛(鱗状黒鉛)(主な産地/スリランカ)

    塊状黒鉛(鱗状黒鉛)も天然黒鉛の一種です。
    塊状黒鉛(鱗状黒鉛)は鉱脈の形で存在し、坑道掘りにより採掘されており、塊状の外観を特徴としております。
    主な産出国としてはスリランカです。
    鱗片状黒鉛同様に結晶性は完全に近い結晶を示し、異方性が著しいのが特徴です。

  • ・土状黒鉛(主な産地/中国)

    土状黒鉛はカーボンブラック同等の黒色調を呈した天然黒鉛で鱗片状黒鉛、塊状黒鉛(鱗状黒鉛)に比べ結晶性は劣りますが、
    粉砕しやすい為、天然黒鉛の中では比較的安価で微粉が得られ易い黒鉛です。

    不純物の影響が少ない分野では幅広く使用されます。

人造黒鉛

  • 天然黒鉛に対して人工的に製造された黒鉛が人造黒鉛です。
    人造黒鉛の代表的な製造工程としてはコークスを主原料とし、これにピッチ、タールを加え加熱、混練、成形し焼成したうえで、3000℃程度の高温にて黒鉛化し製造されます。
    不純物が少なく硬度が高い為、一例としてブレーキ材など摩擦材として使用されております。

結晶構造The crystal structure of graphite

黒鉛の結晶構造図

黒鉛の結晶は炭素原子から成り立っております。炭素原子は通常C-C間が1.421Åの六角形環を形成しております。
左図で見られるとおり、六角形環は3.354Åの均等な間隔で積み重ねられております。
黒鉛はこの様に六方晶形と呼ばれる結晶構造をしておりますが、六角形環はいずれの層も炭素原子は一つ上の層の規則正しい六角形の中間に存在し、そして、その様な層の連続がABAB―という順序で形成されております。すなわち第一層と第三層に関した垂直の軸が同じ位置をつらぬいています。
またこの連続がABCABC―となっている斜方晶形と呼ばれる配列もあります。

このような完璧な層状構造が、導電性、潤滑性を生み出す要因となっております。